FC2ブログ

お墓


骨はうまい

背骨小僧はとても阿呆で怒りやすかった
その為村人たちからは腫物に触るような扱いを受け常に寂しそうにしていたが
そんな背骨小僧にも分け隔てなく接する者がいた
村の子どもたちである
子供たちは背骨小僧を遊びの輪に誘ったり駄菓子を分け合ったりととても仲良くしていた
背骨小僧もそんな子供たちが大好きだった
しかしあるとき一人の子供が背骨小僧の逆鱗に触れ背骨小僧に殺されてしまった
背骨小僧は一度怒り出すと血圧が上がりすぎて意識が飛んでしまい何を仕出かすかわからず
過去12の村で人を殺しては追い出され新たな村に来ては人を殺すを繰り返していたのだ
背骨小僧のあまりの豹変ぶりに子供たちは逃げ出し大人たちを呼びに駆けた
そんな中で一人背骨小僧を落ち着かせようと必死に声をかけていたのが小僧と一番仲のいい勘衛門という男子だった
当たり前だが聞く耳持つわけもなく小僧は勘衛門の背骨を引っこ抜いて殺してしまった
そこで我に返った背骨小僧は自分を囲む惨状に目玉を丸くした
「誰がこんな酷いことを」
ふと視線を下げると目に入ったのは自分の右手に握られた背骨
そこで背骨小僧は殺したのは自分なのだと悟った
恐ろしくなった背骨小僧は子供たちの亡骸を抱え自分の家へ持ち帰ることにした
「ああ勘衛門お前は僕に一番良くしてくれたっていうのに」
悔いても悔い足りない重すぎる罪悪感と申し訳なさから涙を流して勘衛門の背骨を囲炉裏に刺して火に炙り
カリカリになったところを齧って食べた
「勘衛門超うめえ」
その30分後村人150人と話を聞きつけた小僧の被害に遭ったという近隣の村人300人の総勢450人が背骨小僧の家へ襲撃をかけ「もう我慢ならねえ」と小僧の背骨を引っこ抜いて殺し引っこ抜いた背骨の代わりに木の杭へ串刺しにして死骸を晒し者にしたんだとさ
スポンサーサイト



嫁と、今年小学校に上がる息子を連れてニトリへ来た。
嫁が不倫した際、寝室のベッドで間男と情事を営んでいる姿がしっかりと監視カメラに映っていたので、
こんな汚らしいものなどもう使えるかと、新しく購入するために訪れたのだ。

嫁の首には有刺鉄線がぐるぐるに巻かれていて、絶え間なく血が滲みでては水滴となり、真っ白なカーディガンの襟ぐりに綺麗な赤いグラデーションをつけている。
苦悶の表情と脂汗を浮かべた嫁の、大きくぱっちりとした目に湛えた涙がキラキラと光を反射させていて、とても美しい。
腐っても俺の選んだ女だ。
間男は皮を剥いで息子用のサンドバッグに加工し、中身はミキサーにかけ、お魚さんたちにご献上差し上げておいた。
骨はもぐりのラーメン屋に50万で売った。
彼の話を聞くに、人骨が一番いいダシを出すらしい。

一生の間で寝具を買い換えることなどそうそうありはしないので、この機会にもっといいベッドを買おうじゃないかと話すと、嫁はブルブルと震えながら小刻みに顔を上下させた。
まっさらなベッドで俺と手を繋ぎながら寝るのがそんなに楽しみなのだろうか・・・・可愛い奴だ。
だだっ広い店内を、寝具コーナーを目標に歩き始めてから数十分経った頃だろうか、息子の大きな声がきこえた。

~中略~

目が覚めると嫁はいなかった。
隣に横たわっているのは、トラバサミに齧られている嫁の形をした嫁そっくりの人形。
部屋は一面真っ赤なペンキをぶちまけられたように、目が痛いほど染まっていて、その光景に恐くなった俺は部屋を飛び出した。
時刻は午前5時。
息子はどうしただろう。まさか嫁のようになっているのでは・・・・

一方その頃田口家では―

夫父「嫁子くん・・・本当に申し訳ない。」
夫母「本当に、あの子がこんなことになるなんてね・・・・・
   嫁子さんには、最初から最期まで迷惑をかけてばかりだったわね。」
嫁子「お義父さん、お義母さん、お気になさらないでください。
   元はといえば私のわがままが発端だったんですから。」
息子「ビューン!!!やっぱマジンガーZはえーな!ビューン!!!」

現実の僕はさっぱりわからなかった

15年前の、雪の降る夜のことでした。
僕がとても人には言えない、人道から外れた行いをしてしまった際、命懸けで庇ってくれた浜尾さんが行方不明になったのは。
「私がなんとかしておく」と、そう言って僕が逃がしてくれて・・・・それ以降連絡が取れなくなってしまった浜尾さん。
その浜尾さんが今、目の前に立っている。
「いえーい浜尾さん!!お久ぶりでう!」
とても嬉しくなって、ついキチガイじみたテンションになってしまった僕を、浜尾さんはじっと、なんとも言えない表情で見ているだけでした。
「浜尾さんどうしたの!!?あの時は申し訳なかったです!!!有難うございました!」
あの時のお礼と言うにはとても下世話なお話ですが、と、あれ以来心を入れ替えて貯めた1500万弱が入っている口座のキャッシュカードを手渡すと浜尾さんは、「そうじゃ・・・・・そうじゃないんだよ」「違うんだよ」「お前は何も」と、静かに、淡々と捲し立ててきたのです。
どういうことですか。と僕が問うと浜尾さんは、
「仕方がないことなのかなあ・・・・」とぽつりと呟き、駆け足で去っていってしまいました。
僕は何が何やらさっぱりわからず、浜尾さんの言いたかったことも理解できないまま、そこにつっ立っていることしかできませんでした。
浜尾さん、あんたは何を伝えたかったんだろう。
浜尾さん、なぜあの時素直にカードを受け取らず 後日空き巣して盗んでいったんだろう。
浜尾さん、あんたが殺人犯としてテレビに映っているのはなぜだろう。

浜尾さんが再び行方を眩ませてから半年後、一通の手紙が届きました。

「久しぶり。キャッシュカードアリガト!(´▽`)
 空き巣に入っちゃってごめん。
 あの時受け取らなかったけど後からもったいないことしたなと思ってさ。笑
 もう全部使っちゃった。ちょっと入用で必要だったんだ。すまない。
 今テレビでは私のことが名前と顔付きで紹介されてると思う。
 でも心配しないで。大丈夫だから。お前には迷惑かけない。
 でも万が一そっちに何かあるようなら、訪ねてくるやつに伝えて。
 海の鼻、犬が沈んで女が空を飛ぶ」

なるほど、そういうことか。
手紙が届いた翌日、僕は株で大成功した。

友人にナメクジを一匹貰ったので飼うことにしました
飼うための本格的な準備をする前に、少し観察してみようと思いナメクジをひっくり返すと、
裏側が全面、ヤモリの指のようなヒダに覆われていました
ヒダの真ん中に浅い裂け目があったので上下に開いてみると、小さな穴のようなものが姿を現しました
等間隔に10個ほど、口のように見えました
指をくっつけるとなんとも言いようのない快感がまるでダンゴムシを這わせたようで、12年前の8月に邂逅し、涙が溢れました
暫しそれを堪能していると、感覚が薄れつつあることに気づきました
ナメクジが乾燥や疲労、ストレスによって弱ってきていたのです
これはまずいと近くに置いてあった、なぜ買ったかよくわからないヒアルロン酸をかけてやりましたらどこかのラーメン屋や定食屋であったらしいよく聞く話のようにドバっと一気に800円分ぐらい出てしまいまた別の意味で泣いてしまったのはどうでもいいんですけど

あんなに嫌がっていた外出でしたが、急に襲ってきた肩凝りと吐き気、上ってくるものの速さに慌ててトイレに駆け込んだ際、口の中から出てきたのは羽蟻の大群、鼻から口から、たまに目から涙と一緒に薄い灰色した半透明の羽と折れたまつげのような蟻の脚を見て、解決するわけがないのにその時の私は頭がおかしかったんでしょう、まず第一に、「病院へ行こう」と思ったんです。

病院へつくと色んな人がいました。
頭が本棚の人とか、その本棚から出てくる本の人とか、その本を開いたら大きな目玉があって、それがこちらを凄い形相でこちらを睨みつけながらサラマンダーより早く瞬きしてたりとか、高島屋ツインタワーによくにた輪郭の人とか、ハトヤの三段逆スライド方式について熱く語る、担架に乗せられてる血塗れのババアとか。
受付を済ませて一時間ほど経ちましたか、やっとこさ名前が呼ばれまして、肩凝りのあまりの痛みに涙をボロボロ溢しながら診察室のドアを開けますと、上から水とバケツが降ってきました。
何事かよくわかりませんでしたが、先生曰く、ちょっとしたサプライズだったそうです。
結局ただの群発頭痛の前兆だったみたいです。自殺用にきつい薬を処方していただきました。

帰りに公園へ寄りました。
公園なんて小学校4年生以来で、テンションが上がってずっと動物にバネがついたずっとビヨンビヨンするあれにずっと30分ぐらいずっとずっとのりずっと続ずっとけていました。ずっと
勢いを付けすぎて後頭部を打ち付けてしまい一気に萎えてしまったので、結構大きめの花壇がある公園でしたから、虫でも探して遊んでやろうと思い立ったんです。
土を掘り起こしてみつけたミミズを餌にカマキリを釣ってみたり、スズメガの幼虫同士、尻尾をくっつけてETごっこをしてみたり、小学生男児の間で、タガメと並ぶ高待遇を受けていたオオゴマダラの蛹を見つけてセンチメンタルに浸ってみたり。
オオゴマダラの蛹を手のひらで転がしていると、目の端に黒いゴマが留まりました。
まあオオクロアリだったんですけど。
朝から蟻にイライラさせられていた私は、そいつらの巣を潰してやろうと思い、近くにあったスーパーで購入した蟻の巣コロリを片手にそいつらの跡をつけてやりました。
列の先には、こじんまりとした小さな木造家屋がありました。
大きさはキン肉ハウスが一番近いです。
さすがに余所の家に侵入するわけにはいかないので、イライラがピークに達していた私は、怒りのぶつけどころがわからなくなってしまい、勢いで蟻の巣コロリを外壁に投げつけてしまいました。
投げつけたコロリがコツン、と音を立てたと同時に、キン肉ハウスが大きくガタガタと揺れだしました。
今では珍しい、ちょいとつつくとカタカタ音を鳴らす、隙間だらけのサッシに軽く嵌められた薄いガラス窓が、外に飛び出した真っ黒で太い何かに、粉々に砕かれてしまいました。
それは、ハウスにギチギチに詰まるほど大きな、蟻の足だったのです。
昼寝中の女王蟻だったみたいで、安眠を妨げ怒りをかってしまったのか、側に転がっていた蟻の巣コロリを口に突っ込まれて私は死んでしまいました。

縁側に小さく座り 焼いた歯を粉々に砕いたものを薬として飲んでいる祖母を 夏の暑い日差しで焼け付くアスファルト道路から見ていた
まるで昔 隣町の図書館で読んだ「はだしのゲン」みたいだなあと思い返しながら 顎から落ちた汗が作った地面の染みを履き潰したサンダルで踏みにじり 掴んでいた虫取り網を担ぎなおして 友達の家へ駆け出した
お婆ちゃんは 砕けた歯を飲み終えるとゆっくり横になり 静かに眠りに付いた

「諸地くーん!!あーそーぼーーー」
平屋のガラス戸をけたたましく叩くと 笑窪が特徴的なかわいい笑顔を浮かべた諸地くんが出てきた
今日は何取る?ナナフシ?タマムシ?アクタムシ?なんて子供らしい会話をしながら 小学校の裏手に大きく構えた山を目指した
が 山がなかった
まるで核実験でもあったかのように 山だけ 山のあった範囲だけ 綺麗に穴があいていた
穴は目測でもかなり深く見え ブルーホールやグアテマラの穴なんて比べ物にならない ここに落ちたら死体は揚がらないのは確実で もしかしたらどっかの星新一みたいに 上から降ってくるかもしれないとか 色々頭の中が渦を巻くぐらい僕は狼狽していた
どうしようこれ大人に言ったほうがいいよね と諸地くんの同意を得ようと諸地くんを見ると 諸地はいなかった
諸地諸地諸地諸地諸地諸地諸地諸地諸地
目が四つと謎の突起が横から六本生えている牛のような生き物が 諸地の服を着てそこに立っていた
諸地諸地諸地諸地諸地諸地諸地諸地諸地
あれ?諸地はどうした?もしかして穴の中に? と焦った僕はぶるぶると震えながら穴を覗いた
諸地
途端に小さな衝撃を背中に感じた
振り向くと ニタニタと 諸地のキュートな笑顔とは到底かけ離れた 川底のヘドロのような笑いを浮かべている 牛のような諸地じゃない諸地牛がこちらを見ていた
お婆ちゃんは86歳
僕と諸地は11歳だった
さよならbyebye

肩を掴んだ左手が大きく震え出してそれを認識した途端力が抜けあっという間に左手はすとんと床に落ちてしまった
手首から先がなくなったことで発現する違和感はいつもはズボンなのに気の迷いでスカートを穿いたような
そしてそれで外に出たような そんなとき吹いた風にスカートの中を撫でられたような
そんな気持ち悪さだた
ふと左手に目をやるとまだ微かに震えていたが それは徐々に右手へと変わった
結果 僕の右手が左手が右手で でも戻らないままで これからどうやってご飯を食べようか絵を描こうかキーボードを打とうか服を着ようか頭を洗おうかそんな身近なところから攻める今時のトレンディーで甘カワゆるふわレトロガーリーな45歳のOLみたいなことを考えていた

「知ってた?頑張れば骨もモルタルなんだよ」
突然現れた天井から頭だけを出した男の子がそんなことを言っていたが僕はあっち側へ行ったことがなく全く理解できなかったのでシカトした
すると男の子は少しむっとして
「知ってた?頑張ればモルタルも骨なんだよ」
と言ったがどれだけ言い直しても僕には理解できそうもなかったので何も聞こえないフリをして落ちた左右手お足の指を巧みに使い拾い上げた
男の子はいつの間にか消えていた
夢かと思ったが男の子のいた場所の真下に骨の形に削られた巨大な木が転がっていた
モルタルじゃねーのかととかそういうの以前に凄い重かったしでかいし部屋の外に運ぶのに難儀してあいつ今度あったらぶん殴ってやろうとかそういうことしか考えられなかった

登録していた、怖い話や都市伝説を取り扱ったメールマガジンからメールが届いた。
確か午前4時20分前後だったと記憶している。
いつもと大幅にずれた、届くはずのない時間に届いたそれを、なぜか読んではいけないような気がしたので未開封のまま削除した。

午前9時、目が覚めると携帯のランプが点滅していた。
画面には「未読メール一件」の文字。
どうせモバゲーか携帯会社からだろうと思ったが、送信元を見ると、件のメルマガからだった。
一日二度も、それもこんな短期間でネタを提供してくれるようなサービスのいい会社でないことをよく知っていた僕は、地球平面説が現実になったようなえも言われぬ違和感と言うか、全身から周りのもの全てに広がってゆく掻痒に加え、読んではいけない(であろう)ものが目の前に飛び出してきたことによって全開になった好奇心のダム放流ゲートを今更全閉する気も起きそうになかったので、ニヤニヤと、汚い延命冠者のような顔でメールを開いてしまった。

が、内容は、枕の中に釘と人毛が大量に入っていたという、とうに読み飽きたコピペだった。
びっくりするぐらいがっかりしたので二度寝した。

翌朝、後頭部への違和感で目が覚めた。
たくさんの人に擽られているような奇妙な感覚に飛び起きて枕を見てみると、ドドリアの突起のようなものが、枕カバーの下から、不規則な振動を与えられたダイラタント流体のようにゆるゆると飛び出ては沈み沈んでは飛び出てを繰り返していた。
先の感触とその異様な光景に頭が狂いそうになった僕は叫びながら枕カバーを引きちぎり中身を床へぶちまけた。
ジャラジャラと音を立てて床に広がった蕎麦殻にはっとして、どうかしている頭を覚ます為洗面所へ向かった。

その日、顔の穴という穴から指を生やした僕は閉鎖病棟へぶち込まれた。

タスポとは一体ナンだったのか

うげエ・・・・・・・・・・年下だ
吐き散らしてしまいたい
顔にアブラをぶっ掛けた勢い余って眼球がスポンと取れてしまいそうな気分だったので味噌ラーメン(塩味)を三本啜った
分断された不揃いな麺が気管に入り噎せ返る
思わず脱糞しかけたが 咄嗟に枕元に置いてあったアリクイのぬいぐるみを口へ詰め込んだおかげで一命を取り留めた
今時のアリクイはラーメンも食べるんだなあと関心していると 腹がバグパイプな最高級羽毛布団のようになったので そろそろ出かけるか と 頭を振りながら玄関を出てみると外は真暗だった
12月8日 午前11時45分 天気晴朗
空は青く太陽も燦々と白色光に照らしているが
真暗なのだ
まるで天上界と地獄界の境目に浮かんでいるような錯覚に陥る
よく見ると暗闇のように見える全ては黒漆喰で塗り固められいるでわないか
家も車も看板も暖簾も柵も鳥居も窓も草も木も全てが何者かによってべたべたと手が加えられている
郵便ポストも口が塞がれてどうしたものか しくしくと泣いていた
「プラグスーツを着てサルエルパンツを履いた防毒マスクを被った左官屋にやられたんですう」
嗚咽で何を言っているのか大体聞き取れない黒ポストを宥めながら僕は目的地に辿り着けるかどうか心配になった
こうも全てが真黒で物と物の境目も覚束ない世界 どれがあれでなにがどれなのかわからんと
鞄に地図を入れてはあるが どこへ行くにも道程は全て風景にまかせっきりだったのでさっぱり役に立たんのだ
議題:方向オンチは罪なのか
両手に力いっぱい握り締めた皺だらけの地図とにらめっこしていた十分間で とても償いきれないほどの重い十字架を背負ったような気持ちに気まずくなり すっかり気力が削がれてしまった・・・・
しかしこのままたちんぼしていては その内死ぬか死ぬかの二択になるような気がしたので
熟考した上でさっさと死んでしまうことにした
家に戻って遺書を書き ありきたりな言葉から入り ありがちな言葉で〆たそれを 未だ涙を流し続けている口なし頑固者ポストにねじ込めば
倉庫に眠っていた無限に伸びる魔法の綱を鋏でちょんぎりわっかを作って首にかけ
歩いて十五分ほどのところにあった橋の欄干に固く結び付けた
ところで
向こうからポストが慌てた様子で転がってきた
話を聞けばなにやら世界中を覆っている黒漆喰を剥がせるボタンがあるらしい
早く言えこのクソ野郎とポストを袋叩きにしながらどこにあるか吐けと逆にこちらが吐き戻してやれば奴は自分の中にあると言う
鍵はどこかと問えばわからないと泣きに拍車がかかるわ無理矢理こじ開けてしまえと回収口探すも隙間が漆喰で埋められているためわからない
「僕は頭がよくないので単純に 豚の貯金箱のように割るしか それしか答えが出ませんでした。」
涙目でパニックを起こしそうになっていた僕の目の端に 自生の電柱が見えたので それをを引っこ抜きポスト向けて思い切り振り下ろすと 郵便差出箱は悲しそうな投函口を浮かべ おっきくてふとい混凝土の下敷きになり あっけなく砕け散った
その衝撃で中のボタンも押すどころか潰れてしまったが なんとかスイッチは入ったようで
周囲の黒漆喰が音を立ててひび割れ 低いところからはポロポロと 高いところからはバラバラと 黒い皮が剥がれ落ち始めた
やったで!!元の世界や!!!
黒い皮が 風に吸い上げられた花畑の花びらのように舞う中 ちょっとしたヒーロー気分を味わっていた僕の元に一つの四角ポストがゆるりと寄ってきた
そいつは 元の街並みに戻ったにも関わらず 未だに真黒で 能面のような投函口をしていた
やったぜ!元に戻った!!喜べよ!なんでお前黒いんだよ!! そう捲くし立てると ポストは静かに回収口開き 丸型ポストと一緒に潰れたボタンと似たようなボタンを吐き出して これを押せと言う
至極疑わしかったが 今更押したところで左官屋が来るわけでも 来ても殺そう と 素直に 黄色に浮かぶ赤色の突起をポチっとなした瞬間 僕が弾け飛んだ
僕が壊した丸型ポストの欠片のように 僕の肉片が四方八方に散らばり 壁に刺さった欠片の上へ被さるように張り付き それらを赤く染めていった
過呼吸に耳を侵されながら白んでゆく意識の中 最後に見たのは 体を返り血で真っ赤に染めてニヤニヤと投函口を歪ませてこちらを見下している 四角ポスト

「謝った?今謝った?」
僕がそう問うと、佐々木は額を冷たいコンクリートの床に擦り付けながら叫んだ
「すんまへん!本当!すいません!!堪忍してください!!お願いします!」
「これ以上は、これ以上は、申し訳ありませんでした!!どうか、どうか」
背中を丸くしている佐々木の後ろでは42型のテレビがキユーピー3分クッキングを映し出していた
かれこれ一時間ほど調理している
今やっと蒸しあがった鶏に醤油、酒、みりん、その他数種の甘味料を混ぜ合わせた照り焼きソースを塗りつけたところだ
「謝られてもな~?今更謝られてもな~?」
僕が佐々木の頭を踏み付けながら嫌みったらしく言うと、佐々木は喉の奥から掠れた音を出した
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
佐々木は寝ていたのだ
佐々木は土下座をしながら寝ていたのだ
佐々木は土下寝をしていたのだ
土下木だ
「土下木い~オイ、土下木い~~~~寝るなら布団で寝ろォ?風邪引くぞぉ~」
僕が優しく声を掛けると、佐々木はグググと胴体を重たげに持ち上げ、一点倒立でずりずりと布団へ向かって行った
「すいませえ~ん。すいませえ~ん」
寝言だ
佐々木の、いや、土下木の寝言だ
土々言だ
もしかすると頭だけで微妙なバランスを保ちながら這い回っている佐々木
ちょいと押してやればいろいろと面白いことになるんではないか?
僕はニヤリとした
僕は数歩歩けば一分前のことを忘れる鶏頭(鳥人)
忘れないうちにさっさと佐々木の頭を蹴りつけると、起き上がり小法師のようにフワっと上下に180度回転した
思わず「えっ」と声が出た
まさかと思い携帯で日向小次郎を呼び出し、佐々木の足元にネオタイガーショットを決めてもらった
するとまたフワっと回転した
ネオタイガーショットは従来のタイガーショットを上回る威力を持った恐るべきシュートである
10tの岩をも砕くミューラーの左腕を弾くほどの威力故、さすがの起き上がり土下木の脛骨、腓骨の三分の一と距骨、足根骨も粉々に砕けてあらぬ方向へ曲がりくねっていた
激痛に体を大きく震わせながらもなんとか布団へ向かおうとする姿がなんか気持ち悪かったので佐々木はトイレに流した

« »

12 2019
SUN MON TUE WED THU FRI SAT
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
非常ボタン
死ね
月別アーカイブ
ブログ内検索

Archive RSS Login