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お墓


僕は麻雀の大会に出ていて、出番までまだ時間があったから会館外の並木道の横にある小さな森の木陰で咲をアフレコ付きで読んでいた
和の「私疲れちゃいましたぁ」って台詞のところを声に出していると後ろから声をかけられて、
出番はまだまだ先の筈なのになあと不思議に思いながら振り向いたら、何故か某ギャグマンガの中学生天才テニスプレーヤーがこっちを見下ろしておった

「もう時間だよ、早くしないと真田が炊き上がってしまう」

なんて言われてもはぁ?としか返せない
第一僕は麻雀の大会に来ているわけで、テニスの試合なんかするはずもない
よくわからないまま引き摺られて、どこかの小学校の体育館に投げ込まれてしまった
よく見るとその体育館、僕の母校である学習に熱心な小学校の体育館で、少し嬉しかった
中には色んな中学校のテニス部が集まっていて、まさか緑山中を生で見られるなんて思いもしなかったからわーってなったけどやっぱり地味だった
炊き上がる寸前だった真田副部長が「2人組みを作れ」なんて雄叫びを上げて、
何故こんな加齢臭の漂うガキに過去の古傷を抉られなければならんのかと思っているうちに一人余った 案の定あまってしまった
でもよく見るともう一人あまっていて、それが僕の中で「実際にいたら関わりたくないDQN」No.2の赤也で、
もう涙目になるしかなくて…しかもその2人で試合しろなんてぬかしやがってあのサラダ野郎
赤也と試合なんてしたら全身複雑骨折で麻雀牌モテナイし入院費用の心配もあるし保険も入ってないし・・
ラケットを渡されて渋々コートに入ったはいいがやっぱりやはり怖くて顔が痙攣するし、脚とか超マナーモード、
そんな状態で試合が始まったけど多分見てられない感じだったのか、第一球がゆるい感じのロブだった
ああ、こいついいところもあるんだなあと思い、球を拾いに行って、拾おうと思って目線を上に上げたら、球じゃなくて…球よりも大きく驚きの白さで、なんか散ってるし…
正体を考えてる間にそれが虚しい音を立てて床に落ちた
よくみると白いザルに入ったご飯だった
「お前何やってんだよー」と、心底呆れたような顔で赤也は僕にそう言ったが、食事中のマナーやご飯を残すなどといった行為が心の底から許せない僕にとって、ご飯をラケットを打ち飛ばすなど、そんなご飯に可哀想なことは大金をもらわねばできない
そこまでご飯に愛を感じている僕に、こいつはなんてことを…そして、僕にも奴と同じことをしろなんて、最近の中学生はなんて残酷で非情なのだろう、鬼、鬼だ…こいつらは…冷徹な…鬼だ…ッ
そう思うと顔に糠が混ざって白濁した水が染み渡ってきて、僕は思わず声を荒げて

「ご飯なんか打ったら散らばるやろ!ご飯が散らばるやろ!!」

と、奴に向かっていっぱいいっぱいに叫んだ
しかし他の頑張る中学生の放つカコーンという音にかき消されてしまい、奴に真顔で「え?」と聞き返されてしまった
その聞き返した時の奴の表情がまた人を苛立たせるのに適した表情で、僕はまた怒鳴り散らすように

「ご飯!!打ったら!!散らばるやろ!!ご飯が!!可哀想やねん!!!」

顔に染みる白濁した水を絞るように、血管が切れんばかりに叫んだが、再びカコーンにかき消されてしまい、またしても奴はムカつく表情で「え?」と聞き返してきた
騒々しい場所が何よりも嫌いな僕はワカメの顔にも苛立ち、人の精一杯をかき消す打撃音の多さにも苛立ち、
仕舞いにはワカメではなく陰毛に見えてきて、今後奴のことは陰毛(切原)チリ毛(赤也)と呼ぼう、そう心に決めて、仏の顔も三度までと声を張り上げた

「打ったら!!!ご飯!!!散らばるねん!!!ご飯が!!勿体ないん!!!じゃー!!!」

やっと聞こえたのか、体育館は一瞬にして静まり返った
頑張る中学生たちが腕を止めたせいで、微かに球が跳ねる音だけが聞こえた
一拍置いて、体育館内に大爆笑が起こった
陰毛チリ毛も笑っていた
僕は麻雀の試合に遅れて不戦敗になった

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