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お墓


鮟肝

女は椅子に座り目の前のモニタをじっと眺めていた。全ての蛍光灯の電源を落としたその暗い部屋を煌々と照らすモニタの明度を三段階ほど下げて、昔から愛用しているアプリケーションの拡張パッチを制作している人らのHPを見て周っていた。この人はいい文章を書く。あの人はいい絵を描く。それぞれの癖や味を噛み締めるように、色々なコンテンツをじっくり時間を掛けて読んでいた。「そういえば、あの人の絵を最近見ていない。」あまりアプリケーション界隈で積極的な活動は行っていない、ある人のHP。以前はあまり好きではなかったけれども、見ている内にだんだんといいところが見えてきて、今では割と好きなのだ。HPの内容は至ってシンプルで、日付の記されたラフな絵が載せられていて、その上部に一行分のメールフォームとか、メールへの返信とか、過去載せた絵のログとか、アプリケーションのパッチの配布ページしかない。しかなかったと思ったのだが、ふと見ると右端に何かリンクが張られている。なんだろうかとクリックすると、某問答サイトが表示された。もう2年ぐらいHPに通っているけど、この人の文章を読んだことがない。どんな物言いをして、どんな思考で、普段は何を見ているのか。何も知らなかった。湧き上がる好奇心と興味。女はゆっくりと、また、噛み締めるように画面のスクロールを始めた。だがこれがいけなかった。女は後悔した。何故ならば想像とは全く違っていたからである。勝手にイメージを膨らませて過大評価していた私が悪いが、あまりにこれはひど過ぎる。読み進めれば読み進めるほど、自分の中の偶像は音を立てて崩れ落ちていった。へえ、あんたもナナって言うんだ。言葉遣いが粗暴で女性だが一人称が俺、他人に攻撃的な発言を並べ立て、気に食わない物事への誹謗中傷。好奇心によって熱せられた興奮がものの3分ちょいで氷点下にまで冷めてしまった。よせばよかったなあとゲンナリしていた女だが、どこか昔の自分と重なる部分が多いことに気付いた。記憶の奥底に押さえつけていた黒歴史が瞬間鎖を千切って大脳皮質に襲い掛かってくるような錯覚。胸をムカつかせながら読んでいると、その人のtwitterアカウントがリンクされているのを見つけた。凄いクズでクソな人間性を持つこいつ、人間関係はどう結んでいるのか気になって気になって。結局2時間程そいつの問答とtwitterを読み漁っていた。はっと我に返ったとき、ある程度の情報が頭に入っていることに気付いた。好きな物、嫌いな物、住んでいる県と市と町、年齢、職業。そして女は嫌な薄ら笑いを顔に張り付けて、アンチの気持ちを理解した。

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